「チョコレートはなぜ美味しいのか?」を読んでチョコレート=油脂だと思った

こんにちは。チョコレートってなんでおいしいの?
と考えたことはありますか?

ぼくは普段からチョコレートをたくさん食べていて、
「このチョコは美味しいな」
「このチョコはあんまり美味しくないな」
なんて、すごく感覚的に判断していたんですが
知り合いから「チョコがおいしいってなんでなのかな?」と聞かれて、
ぜんぜん明快な答えが返せませんでした。

そんな折、知り合いから上野聡さんの著書「チョコレートはなぜ美味しいのか?」
amazonリンクが送られて来て30秒で購入し、翌日には本書を読みチョコレートがなぜ美味しいのかを少し理解することができました。

科学的になぜチョコレートが美味しいのかはわかりつつある

科学的なチョコレートの美味しさ

上野さんは広島大学教授で食品物理学を研究されている方です。
今回は、「チョコレートはなぜ美味しいのか?」を読んでより科学的に
チョコレートの美味しさについてインプットしたことをアウトプットしてみます。

【今回の内容】
・美味しさを決めるのは「味」と「臭い」と「テクスチャー(食感)」
・食感を決めるうえで重要なのはV型をつくるテンパリングの工程
・チョコレートが「液体として飲むもの」から「固体として食べるもの」に変化した経緯


美味しさを決めるのは「味」と「臭い」と「テクスチャー(食感)」

チョコレートの食感



人は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感がある。
モノを食べるうえで美味しさを感じる直接的な要因は
味覚、臭覚、そして触覚である。(体調などは間接的要因である)

味覚はご存知の通り、甘い(甘味)、苦い(苦味)、すっぱい(酸味)、しょっぱい(塩味)そして、旨味の5つの基本味で決まる。

またこれは知らなかったが、舌の部位によって甘みを感じる場所、苦味を感じる場所(味覚地図)は実は決まっていないと最近わかったそう。

臭覚は味のようにはっきりとわかっていないことが多いそうで本書でもあまり言及がなかったが、30~40くらいの臭いの分類ができるそう。

触覚はモノを食べるときに触れる歯や舌を含む口腔内の皮膚感覚が関係していて、歯ごたえ、舌触り、喉ごしの良さが美味しさにつながる。パリパリ、しっとり、サクサクなどが美味しそうに思えるように、その物がもつ堅さや粘性・付着性といった食感(テクスチャ)が重要である。

特にチョコレートは口の中に放り込んで、舌の上で油脂がトロッと溶けることで
テクスチャにおいて重要な役割を果たしている。

食感を決めるうえで重要なのはV型結晶をつくるテンパリング

チョコレートのテンパリング
テンパリングマシンでの温度調節処理

チョコレートはココアバターと呼ばれる油脂の性質で固形を保つことができている。
ココアバターはバターとは物性が違い、バターよりも高い温度でも固形を保つことができる。

チョコレートの食感を決める上で重要なテクスチャはココアバターの性質によるものであり、さらにココアバターが固まる際にI型〜Ⅵ型6つの結晶型に分類され、最適な口どけの結晶型はV型である。

それぞれの結晶型は固まる温度が異なり、

・Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型は25℃以下で溶ける
・Ⅳ型は28℃
・Ⅴ型は33℃
・Ⅵ型は36℃

と固形になったときの結晶のつくりによって溶ける温度が変化するそうだ。

この特性により
・Ⅰ型〜Ⅳ型は溶けやすく、手にもつとすぐにベタつき、製造時にも成型するのが難しい
・Ⅵ型は口の中にいれてもすぐに溶けない

ということから33℃で溶けるⅤ型がチョコレートには最適とのこと。

そのため、美味しいチョコレートをつくるためには製造時に温度調整作業=テンパリングをする必要がある。

Ⅴ型をつくるためのテンパリング手法は

①最初に50℃にしてすべて溶かす
②25~26℃まで冷まして、Ⅳ型以上の結晶のみにする
③再加熱して30~31℃で、IV型を溶かしてV型以上の結晶のみにする

ただし、本書では超音波、磁場をつくる、攪拌することで
V型の結晶を形成することが促進されることも判明しているとのこと。


チョコレートが「液体として飲むもの」から「固体として食べるもの」に変化した経緯
飲むチョコレート、食べるチョコレート


ご存知のとおりチョコレートの原料であるカカオはもともと中南米由来の作物。
そして、紀元前の中米でのチョコレートは、苦い水に唐辛子などのスパイスを加えた飲み物だった。

それでは、チョコがなぜ固体で食べられるようになったのか?

その理由は大きく
①ヨーロッパででカカオマスとココアバターへ分離する技術があったこと
②中南米との気温の差

が関係している。

1828年にオランダのバンホーテンが圧搾技術を使ってカカオマスからココアパウダーとココアバターに分離することに成功しました。ご存知のとおり、今でもバンホーテンはココアパウダーをココアの粉として流通させている。

そして、余ったココアバターを冷やして固められることをイギリスの菓子職人ジョセフ・フライが発見し、1847年に「食べるチョコレート」を生産する会社を設立した。
(フライ社はのちにデイリーミルクで有名なキャドバリー社に合併された)

つまり、歴史の流れを簡単に整理すると

 中南米で苦い水として飲まれていたチョコレート
→スペインによってヨーロッパに持ち込まれた
→当時の高級品であるインド由来の砂糖と組み合わさり甘いチョコレートができた
→ココアバターの圧搾技術とヨーロッパの気温の低さで固形チョコレートが生まれた

この事実を知ると偶然の積み重ねを感じます。

また、逆にカカオ豆の発酵という工程はカカオの原産地でしかできない工程だという話もある。発酵のためには菌が必要でその菌は農民の使う木箱やバナナの皮にしか生息しないとのこと。

原産地と加工国がうまく役割分担されている。。



以上、ぼくが「チョコレートはなぜ美味しいのか?」を読んで知ったことでした。
チョコレートの歴史はいかに美味しいココアバターをつくるか?に変化しているんですね。こういう科学的な裏付け知ると、まさに「甘くてとろけるスイーツ」という標語がぴったりな食べ物な気がします。

これからはチョコレートを食べるときに口どけをより意識してしまいそうです。

それでは、素晴らしいチョコレートライフを。


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