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ファインカカオを使うなら産地まで

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インドネシアの農園でカカオ開発をはじめて半年が経過したので今感じていることを書いてみます。さっそくいってみましょう。 カカオの風味は発酵によって大きく変化するのはガチ 僕らはインドネシアスラウェシ島のエンレカン県にあるマレレ村の農家さんと現地のビジネスパートナーと共にカカオ開発をしています。農家さんと知り合ったのは2017年の7月なので約1年3ヶ月の時間、彼らとコミュニケーションをとりながらカカオの品質改善を行なっています。 カカオの品質の改善に大きく影響を与えるのは「発酵」の工程です。 同じ農園の同じ品種のカカオ豆を使ったとしても発酵によって風味は大きく変化します。ワインっぽい香りになったり、桃みたいな香りになったり、お酢みたいな香りになったり、納豆みたいな香りになったりします。 「国違い」ですら大雑把すぎる いまBean to Barチョコレートの多くは「エクアドル産」とか「ペルー産」とか国単位で風味が違うという売り方をしています。 しかし、メーカーが認識すべきことは「国単位での風味の違いというのは本当にその国の風味なのか?」ということ。 つまり、カカオの風味がどの時点で変わるのかわかっているのなら、「この国はこういう風味だ」と断言することはできないはずなのです。百歩譲って「この国の風味にはこういう傾向がある」という論じ方はできます。 イメージしやすいように図にしてみました。 ファインカカオ豆を使っているのであれば、産地まで言ってほしい 上の図を見てもらってわかること。それは 「その国のカカオ豆の風味の特徴」と言ってしまうと、 「発酵バッチ001と002をごちゃ混ぜにし」 「雨季と乾季の豆をごちゃ混ぜにし」 「農園Aと農園Bの豆をごちゃ混ぜにし」 「地域Aと地域Bの豆をごちゃ混ぜにしたもの」 ということになってしまいませんか? つまり、「国違い」としてBean to Barチョコレートを販売するのは、コモディティカカオと同じ土俵に並べられてしまっている感覚です。 この投稿で何が言いたかったかというと、ファインカカオ豆を使ってBean to Barの手法でチョコレートを作っているのであれば、せめて地域や農園違いまで語ってほしい。(ポジショントークですが、できれば発酵違いまで) というこ

お菓子のセレクションボックスSweets Paletteを公開した経緯と今後

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パティシエさんのお菓子をセレクションしてオンライン販売するサービス Sweets Palette(スイーツパレット) をはじめたので、その経緯と今後の展開をブログに残しておきます。 今回、このサービスに協力いただいたパティシエのみなさま。短期間でいろんな人を巻き込みながらサービス公開まで進めてくれたチームにまずは感謝したいと思います。本当にありがとうございます。 そして、今回のサービスは公開することを優先したため「作り込み」という部分はまだまだであることは承知のうえで、サービスが持つ思想をお伝えできればと思いこのブログを書かせていただきます。 <概要> パティシエさんがつくる Bean to Bar の菓子を味わってほしい 店舗では伝えきれないことを伝えたい 労働する価値ではなく創造する価値に転換したい 今後の展開 パティシエさんがつくる Bean to Bar のお菓子を味わってほしい ぼくたちは昨年からインドネシアでカカオ農園開発を開始しました。もともと世界から低品質とみられているカカオ豆の品質を高品質に独自の手法で進化させようとしています。そして高品質なカカオ豆は、素材や最終製品の風味にこだわる職人さんとの相性がいいと思ったので、主にパティシエさんに訪問して営業活動などをさせてもらっています。 そして、思っていた以上にBean to Barの製法でチョコレートをつくるムーブメントは元来素材にこだわるパティシエさんも意識していて、自分たちでカカオ豆を仕入れて試行錯誤しながらチョコレート菓子をつくっているパティシエさんも増えていることがわかってきました。 ただ、チョコレート好きを自負する僕たちでさえその情報をちゃんと入手できてないことに課題を感じたのもあって、今回は職人さんがつくるBean to Barのお菓子を中心に、オンラインで販売するサービスを企画しました。 店舗では伝えきれないことを伝えたい パティシエさんといえば、洋風なお店を構えてキッチン工房が後方にあって綺麗なお菓子をディスプレイに並べて売るというスタイルが当たり前になっています。 しかし、その販売方法で伝えたいことが伝わるか?と疑問に感じました。人気店であれば、後ろに人が並んでいるのにじっくりと時間をかけて眺めるのも、忙しいスタッフの方

日本国内のチョコレート業界カオスマップをつくってみた

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こんばんは。 タイに来て、結局日本にいるのとあまり変わらず、もくもくと部屋の中で作業をし続けています。でも、海外に来てもいつも通りのリズムで活動するのはちゃんとストレスなく生活するコツな気がします。 前回は、会社をつくって何をしたいのかという話を書きました。 それで、これから僕らがこの業界で事業をやるにあたって、実際いま日本のチョコレート・お菓子業界にどんなプレイヤーがいて僕らが実現したいことはどんなプレイヤーと何をすると達成できるのかな?ってことが重要だと思っています。つまり外の業界から入って来たからには業界の構造を知っておく必要があると。 昔リサーチの仕事をしたり、営業をするときに非常に気にしていた視点で、顧客の不が何か?ということを追求し続けることで自分たちがやりたいことではなく、やるべきことにフォーカスできると思っています。かっこよくいえばPMF(プロダクトマーケットフィット)とか言いますが。顧客の不は顧客自身も理解、表面化していないことが多いので、構造から俯瞰して仮説を立ててみることと、実際にお客さんのところに行ってヒアリングすることで仮説が正しいかどうかが明らかになります。そういった、「クライアントすらまだわかっていないニーズをつかむことで、将来通用するサービスがつくれる」と最近知り合いが言っていたので勝手に借用します。 能書きはここまでにして 各プレイヤーとその区分けを洗い出してみましたのでその画像を添付します。ちなみに、これは僕が お菓子研究担当の "のあさん" にお願いしてつくってもらい、最後に僕がほんの少し修正したものとなっています。 Bean to Barをメインにつくったので、旧来の国内ブランドや海外ブランドは極力載せていません。 こうやってロゴを俯瞰してみると、ロゴが赤色のところは目立ちますね。あと、文字だけのロゴ多い。金色が多い。 縦軸は価格帯、横軸はC向け、B向けとしましたが、それぞれのセグメントに対応しています。同じセグメント内の位置は関係ありません。 もしも、この図に入っていない事業者さんやポジションが違うよ!という事業者さんはご連絡いただければ図を更新させていただきます。 今後、この業界地図がどう変わっていくのか?ぼくらも少しでも影響与えられる事業をつ

フーズカカオ社をつかって妄想を現実にしたい

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ブログの更新が途絶えていたので、最近考えてることを簡単に投稿しておきます。 (仕事とプライベートの隔たりがない生活でほとんど、チョコレートとかカカオのことを常に考えてるので、書きたいことはいっぱいあります。) 今回はコンパクトに3つくらいに分けて書いていきます。 会社つくりました 2017年10月に会社を設立しました。 会社名はフーズカカオ株式会社。英語ではWhoseCacaoと書きます。 食べもののFoodsと誰の?というWhoseを掛け合わせた名前です。 お菓子業界の中で起業するというとお店持つの?ってよく聞かれるんですが 僕は店舗を持って自分でお菓子をつくって販売するという仕事を自分で積極的にやろうとは思っていません。それは、「得意ではないから」というのもありますが、「インターネット業界からお菓子業界に移ってきた人間が何をするとこの国にとって意味があるのか?」という目線で考えた結果、やるべきではないという考えに至っています。パティシエさんとかメーカーさんがやっていることの真似事はあまり意味がないと思っています。 それよりも、業界のプレイヤーたちのしがらみとか、仕組みにはまってしまったがために解決できていない問題を解決する、ということをできたほうがより価値のある行動だなと思っています。いまの時点ではそれはカカオ農園の開発であり、その開発した農園の情報をチョコレートをつくる人たち、消費者に届けることだと思っています。 東南アジアを拠点にします ぼくはいま、東南アジア、特にインドネシアの農園開発をしています。それはどうしてかというと、「東南アジアと日本をつなげる事業」こそが近い将来求められるのでは?と感じているからです。ぼくは昔から世界地図とか眺めるの好きです。学生の頃は中南米の一人旅とかもしてました。ビジネスでいうと業界地図みたいな本を読むのが趣味です。そういうことしていると、妄想が膨らむんです。で、いま僕がしている妄想は「日本と東南アジアで強い結びつきをつくるとすごくいいことが起きるんじゃないか?」ということです。 カカオの世界では、原産地と消費国と分かれています。そして地図上で見ると、北米と中南米、ヨーロッパとアフリカ、日本と東南アジアがそれぞれの関係を築ける位置関係にあります。実際、北米と中南米は移民の交流も多いですし言