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Bean to Barチョコレートは各国にどれくらい存在するのか?

チョコレートをカカオ豆の選定から加工まで行なっているものをBean to Barと呼び 最近はBean to Bar =品質の高いものという認識が広まってきている気がします。 僕自身はBean to Bar自体が品質の高いチョコだとは思っておらず、 市販品のほうが口に合うことが多い気もしています。 ただ、Bean to Barの仕組みはカカオ農家にとっても消費者にとっても メリットのある取り組みなので、その形態のチョコレートメーカーが増えることを 望んでいるのですが、実際に日本にBean to Barがどれだけあって 世界と比べるとどうなのか?ということが気になったので調べてみました。 各国のBean to Barの数は? ネットで調べられる限りで、Bean to Barの個数を抽出してみました。 順位 country BtBの数 1 United States 185 2 Australia 32 3 Canada 25 4 France 25 5 United Kingdom 22 6 Japan 15 7 Switzerland 11 8 Italy 10 9 Ecuador 9 10 New Zealand 8 11 Spain 8 12 Belgium 7 13 Costa Rica 7 14 Madagascar 7 15 Germany 6 16 Belize 5 17 Sweden 5 18 Brazil 4 19 Colombia 4 20 Denmark 4 21 Netherlands 4 22 Peru 4 23 Poland 4 24 South Africa 4 25 Guatemala 3 26 Hungary 3 27 India 3 28 Ireland 3 29 Nicaragua 3 30 Philippines 3 31 Venezuela 3 32 Argentina 2 33 Austria 2 34 Barbados 2 35 Bolivia 2 36 Czech Republic 2 37 Finland 2 38 Grenada 2 39 Lithuania 2 40 Mexico 2 41 Vietna

チョコレートの児童労働を知るためにACE白木さんの本を読んで

チョコレートの原料であるカカオのことを知ろうとすると必ず「チョコレートの原産国では過酷な労働を強いられている。そして、それらの労働は子供が担っていることも多い。」という話が必ず出てくる。 しかし、大手チョコレートメーカーの中には、「児童労働を撤廃しよう」「持続可能性を高くしよう」という声を大々的に発しているメーカーが多々ある。 つまり、 児童労働はまだまだ残っているぞ!消費者やメーカーはもっと生産者のために意識を高めようよ! という声と 児童労働を失くすために私たちは行動しています!農園の持続性のために毎年〇〇円の資金を使っています! というそれぞれの声があるわけですが、実態としてどの程度解決に向かっているのか、というのは具体的な数値としてはわからない。 しかし、本書を読んで、ある程度実態を把握する方法は理解できてきた。 結論から言うと、日本国内のチョコレートの大部分は児童労働問題が解決できていないもの(児童労働の可能性がある商品)を販売しているという認識にたどりついた。 なぜそう言えるのか? 実際に児童労働が解決できているための判断材料としては ・認証ラベルがついていること ・認証団体が販売していること ・フェアトレードに取り組んでいる個別企業が販売していること(クラフトチョコレートなど農園と直接契約しているところでしょうか) ・生産から販売までのトレーサビリティが機能していること となるかと思われます。 市販チョコレートの多くはまだまだ認証ラベルがついていません。 本書で紹介されている数値をもとに判断してみます。 マース社 2009年 ギャラクシーバーにレインフォレストアライアンス認証導入      2010年 ウツサーティファイド認証導入      2011年 国際フェアトレード認証導入      2012年 カカオ全体の20%(9万トン)を認証の見込み      2020年までにすべてを認証つきにする  キャドバリー社 2009年 デイリーミルクチョコの原料をフェアトレードにした         2020年までにすべてのカカオ豆をフェアトレードにする ネスレ社 2009年 ネスレカカオプランを開始、10年間で約410億円を投じる発表 ハーシー社 2012年 商品すべてに20

カカオ農家の生存戦略はコモディティ化せず個別銘柄化すること?

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先日、インドネシアで複数のカカオ農園や各地カカオ豆バイヤーを訪れてみて思ったことをまとめてみました。 まず、結論としてはタイトルの通り。 カカオ農家はコモディティとなってしまっており、その中から抜きん出るような活動ができなければ、いつまでたっても儲けることはできない ということ。 バイヤーと話してみてわかったことだが、カカオ農家は「カカオ豆の農家のひとつ」としてしか扱われていない。 バイヤーから購入するメーカーや輸出業者はロンドンとニューヨークのカカオの相場価格に沿って買い付けを行っている。そのため、各農家にちょっとした品質の差があったとしてもコモディティとして同様に扱われるのだ。 農家の人と話してみてわかったことを簡単に記しておく ①カカオの栽培と収穫、発酵には手間がかかる カカオの栽培において、収穫高や品質の維持をしようと思うと、古い木を切ったり、腐ったカカオポッドを除去したり、カカオボーラーと呼ばれる害虫(蛾)の対策をしたりと手間が多い。また、収穫時にもナタで思いカカオポッドを一つ一つ切り取る必要があり、発酵させるためにはカカオポッドから中身のカカオビーンズを取り出し、バナナの葉に包んで5日程度発酵させ、その後また5日ほど乾燥させる必要がある。 そうして乾燥させたカカオをバイヤーが各農家の元に買取に来る。 ※地域によっては農家ではなく、バイヤーが発酵の過程を担っている ②農家の人にとってカカオは多くの農作物のうちのひとつでしかない たとえば、他にお米やコーヒー、パパイヤ、パームなど儲かる作物があればそちらを栽培することに躊躇はない。実際に僕が訪問した農家の一人の人はカカオの買取価格が下がってきたのと、カカオの木の寿命(樹齢20年以上)で収穫高が下がってきたので、お米とコーヒーの栽培に切り替えると話していた。 ③カカオの苗を植えて、カカオポッドが実るまで2年〜3年かかる カカオの生育に適した地域であれば、2~3ヶ月ほどで苗をつくり、それを土に植え替えてから1年半程度で最初のカカオポッドが収穫できるが、大抵は2~3年の期間は待つ必要があるとのこと。 ④農家の人には安定収入がない 前述とも関連するが、農家の人の多くは収穫高や相場によって収入が大きく変動するため、できるだけ高く売れる作物、効率の良